合鍵

Tが、私に合鍵をくれた。彼から合鍵をもらうのは、これが2回目。


最初にもらったのは付き合って初めてふたりで迎えたクリスマス。

私はそれから1年半の間、それをキーホルダーに付けて大事に持っていた。
合鍵を実際に使うことは少なかったが、
合鍵は、彼の特別だという証だったし、特別ゆえの特権だった、私はそれが嬉しく、幸せだった。

去年の6月に別れたとき、彼に合鍵を返した。

同年の9月に、私たちはまた付き合うが、その時は合鍵をもらわなかった。



この間のお泊まりで、彼の調子が悪く病院に行くからあとで外で待ち合わせよう、とのことで合鍵を預かった。

私はその場かぎりで貸してくれたものなのだろうと思い、用件が済んだので返そうとする、
「いや、持っといて」
と彼が。


鍵って象徴的だ。
その人だけの空間に、勝手にお邪魔することを許された、とでも言おうか、

たぶんまた使うことは少ないんだろうけど、なんだか無条件に嬉しい。