YSとの初詣の後、もう彼氏とは別れようと決心した。

家に帰ってから電話をかけたけど、出てくれなくて。
いつもそうだ。年末年始、何回か電話をかけた。せめてお互いの声を聞いて別れたいと思って。でも、いつも出てくれない。その度に躊躇。「時間ができたら連絡する」というメールなんてもう信じられない。

メールでお別れなんて、一番避けたい手段だったけれど、もう今更待っていられなかった。いつかかってくるかもわからない電話を待っていられるほど、長引かせたい気持ちではなかった。

「もうだめなんじゃないかと思う。あなたは、あなたのやりたい事だけの世界で生活していたほうが、幸せだと思う。あなたの本音を聞かせて。私は別れたい。」

文章はできたけど、送信ボタンを押せない。これを押せば、私たちの2年間は終わる。私たちのいい記憶も、悪い記憶も、全部終わる。
別に死ぬわけじゃないのに、2年間が走馬灯みたいによみがえる。

うつぶせながら、送信ボタンを押した。ごめんね、こんな最後で。ごめんね。


朝、起床するとメールが入っていた。1件は天気予報、もう1件は彼氏から。

「そやな。今は自分のことだけ考える。試験に合格するためならなんだって犠牲にする。巻き込んでゴメン。2年間想ってくれてありがとう。幸せ者やったんやと思う。もう2度と連絡するのはやめよう。**ももう絶対に俺のことで悩まないで前に進んでください」

終わった。これで全部終わっってしまった。片目から涙が出る。いやこれは寝起きのせい。なんだかとても虚しい気持ちになる。悲しい気持ちは、不思議とない。

自分勝手にも取れるし、私が悪者みたいにも取れる。そんな彼の意見。でももう連絡取るのはやめようといっているってことは、もう会いたくないってことなんだろうなっていうのは、理解できる。こいつ子供なんだか大人なんだか。

「あ、CDかりっ放しだ」 思い出す。

会いたくないなら家のポストに届けに行くしかないか。あーめんどくさ、と思い布団から出る。いちにちがはじまる。


もう何の関係もない他人同士になってしまったけれど、私は今でも彼が無事、資格試験に合格できるよう応援したいと思っている。
彼が夢に真剣だということは、誰よりも分かっていたつもりだから。
私はもう2度と会いたくないなんて思わないけれど、彼がそう望むなら、連絡もしない。

さよなら、がんばってね。