別れたときの、教訓が生かされている。今私たちはそんな付き合いかたが出来ている気がする。
彼は、ちょっとしたことで苛々しなくなった。そして私も。
別れる前、私は焦っていたのかもしれない。別れるのは時間の問題。その予感が私を取り繕わせた。気持ちを押し殺し、彼に合わせた。それでも彼の心にそぐわないと解ると、ふて腐れた。この上なくブサイクだったのは、鏡を見なくてもわかっていた。
自分だけが我慢してる。そう思っていた。
今になって思う。きっと彼はそんな私に苛々していたんじゃないかな。

今の私たちは、―私だけが思っていることかもしれないけど、お互いがお互いを思いやって、気を遣えているきがする。悪い意味ではなくて、自然と、苛々するより先に勝手に優しい気持ちになって相手を思い合える。苛々という感情すら、頭に浮かばない。

いつかまた、別れの日はやって来る。それは近い未来なのか遠い未来なのか、まだわからない。でも不思議と、怖くない。私は今、それだけ満たされているんだなと思う。

また寒い季節が来たね。冬はあまり好きじゃないけれど、初めて一緒に過ごした冬の日みたいに、またふたりで雪の中を歩きたい。今年は降るかな。